Thursday, February 3, 2011

ポジティブな感情って何?

心理学の分野って何だか心の病気のことばかり扱ってて、なんだか暗そうだなあ、とか、恐そうだなあ、とか思ったことありませんか?

私も全く同感です。院生の頃、フロイトが精神分析のゴールは神経症の患者さんが神経症的な不幸でなく「日常的な不幸(everyday misery)」を感じられるようになること、と言っていたのを聞いて「何年も分析に時間をかけて、お金もたくさん払って、そ、それはあまりにもひどいのでは。」と思ってました。

これはフロイトの精神分析モデルが「どこが悪いか」に注目して治そうとする病理モデルだからなんでしょう。フロイトはメディカルなお医者さんだったので、体の痛いところを見つけて問題を分析し、治療すれば患者さんが良くなるように、心に対しても同じアプロートをすれば良くなる、と考えたのも彼にとっては自然だったのでしょうね。

でもこのモデルの問題は、心の病気が治っても、楽にはなるかもしれませんが幸せではないかもしれないというところです。心の不幸度マイナス10点がゼロになっても、幸せ度のプラスへ傾かなくては、何だか片手落ちなんじゃないかな、と思うわけです。

フロイトから始まる病理モデルの伝統のある心理学ですが、ここ10年くらいで新しい流れが出来てきました。ポジティブな感情に注目するポジティブサイコロジーというものです。

ノースカロライナ大学の教授バーバラ フレドリクソン先生という方がポジティブな感情がどのようにポジティブな影響を私達に与えてくれるのか、リサーチをされています。こういう分野が出てきて、彼女のようにポジティブな感情の利点とは?と研究が必要なくらい、ポジティブな感情はそれまでおざなりにされていたことが分かります。

彼女曰くポジティブな感情とネガティブな感情の比率が三対一というのが、心と体と精神に対して最高の好影響を与えてくれるのだそうです。

日常のなかで意味もあまりないし、お金にもつながらないかもしれないけど、「うふふ」と心底楽しめる小さな幸せ、ポジティブな体験を自分に許してさせてあげるのが、案外とっても大切なことなんです、と彼女は言っています。

本当に小さなこと、例えば鼻歌を歌うだとか、むちゃくちゃ自由に絵を描いてみるとか、ペットのおなかをなでてあげることだとか、くだらないだじゃれを言って人を笑わせてみることだとか、目が合った人にこちらから笑いかけてみるだとか、、、。そんな小さな幸せ瞬間の連続が積もっていくと、鬱にもなりにくいし、集中力も高まるし、対人関係も良くなるし、またつらいことがあったときでも立ち直りが早いとリサーチで出ているようです。

彼女のインタビューはこちらです。http://www.youtube.com/watch?v=Ds_9Df6dK7c

「私達が楽しめることに投資することは、自分達の未来に投資しているということ。だから希望を持つことは恐怖よりも良いことなのです。」

"When we're investing in things that we enjoy, we're investing in our future. That's why hope is better than fear." Barbara Fredrickson, Ph.D.

私のしているセラピーのモデルはAEDPというのですが、AEDPはまさにこのポジティブな感情の芽を育てていくのが一つの大きな柱です。フレドリクソン先生は臨床家ではなく研究者なのですが、彼女のアカデミックな研究が臨床の仕事の裏付けになっているのを発見するのは、うれしいことです。

人間楽をしてちゃだめ、という考え方がどうしても刷り込まれてしまいがちな日本文化ですが、楽しいことを自分に許してあげる、楽しんでる自分を受け入れてあげる、ということを頻繁にしていると、心の体力がたくわえられていくようです。それで自分も元気になって、周りの人たちも元気にハッピーになっていったら、最高ですよね。

Sunday, October 24, 2010

1万時間の仕事

マルコム グラドウエル(Malcolm Gladwell)という作家がいますが、彼が分野の開拓者と言われる人物たちは1万時間という長い時間を開発/研究にかけている、と言っています。それは芸術家でも、科学者でも、起業家でも、分野に関わらずそうだというのです。

1万時間というと、ちょっと想像しにくいですが、実際どれくらいの時間でしょうか。一週間仮に40時間で、一年に50週働いたとすると2千時間になります。それを5年間続けるというとだいたいのイメージが湧いてくるでしょうか。

もちろんそれはセラピストにも当てはまります。

私のトレーニングを受けているセラピーのモデルAEDPの創始者であるダイアナ フォーシャは、いい仕事をするには「情熱/愛」と「ハードワーク(1万時間!)」と言っています。実際にクライアントさんにお会いして、いい仕事をしていくためには表に出ない裏舞台での仕事が何倍も必要なんですよね。スーパービジョンを受けたり、セミナーに出たり、本を読んだり、勉強会で研鑽し合ったり、、、。以前、ユング派の河合隼雄さんが「自分は平成の忍者だ」と冗談めかしておっしゃっていましたが、本当にその通りです。

私は1万時間のうちどれくらいまで来てるのかな、、、。

Wednesday, May 19, 2010

祝福の詩

友人が教えてくれた詩をご紹介します。
とてもシンプルに勇気を与えてくれます。

ニューヨーク大学リハビリセンターの壁に残されていた患者の詩

大きなことを成し遂げるために、
力を与えてほしいと神に求めたのに、
謙遜を学ぶように、弱さを授かった。

より偉大なことができるようにと、健康を求めたのに、
より良きことができるようにと、病弱を与えられた、
幸せになろうとして、富を求めたのに、
賢明であるようにと、貧困を授かった。

世の人々の賞賛を得ようとして、成功を求めたのに、
得意にならないようにと、失敗を授かった。

人生を享受しようと、あらゆるものを求めたのに、
あらゆることを喜べるようにと、生命を授かった。

求めたものは1つとして与えられなかったが、
願いはすべて聞き届けられた。

神の意にそわぬ者であるにもかかわらず、
心の中で言い表せないものは、すべて叶えられた。

私はあらゆる人の中で、もっとも豊かに祝福されたのだ。

「愛することは許されること」所収 渡辺和子著 PHP研究所刊

Tuesday, March 23, 2010

オフィスの移転

オフィスを移転しました。新しい住所は次のようです。

425 West 59th Street Suite 7C
New York NY 10019

どうぞよろしくお願い致します。新しい場所でお待ちしています。

Thursday, December 3, 2009

日本における自殺対策 ー 年始年末に向けて

お知らせ:

日本では今年も自殺者数が過去11年に引き続き高止まりを記録しているようです。
年始年末、そして自殺者数が特に高まる3月までの期間はさらに自殺対策が求められる時期です。

内閣府自殺対策担当者3名、秋田大学、NPO自殺対策ライフリンク代表で構成される自殺対策緊急戦略チームが発足したというニュースをご紹介します。

このチームは自殺者数が高まるこれからの時期に向けて「自殺対策100日プラン」なるものを制作し、具体的かつ総合的な自殺対策戦略を提案しています。

http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html

官/民/学がチームとしてお互い物質的、人的、知的リソースを出し合い、効果の出る自殺対策に繋がっていきますようにと願ってやみません。

Thursday, November 12, 2009

NYジャピオン誌に自死遺族サポートグループのインタビュー記事が載りました

NYにある週刊NYジャピオンに自死遺族支援グループ (JSOS)のインタビュー記事が掲載されました。心と体のメンテナンスというコーナーで11月の4週間連続で紹介されます。

ジャピオンのHPで記事が読めます。

http://ejapion.com/living/health/531

少しでも多くの遺族の方たちのもとへこの情報がつながっていくといいな、と願っています。

JSOS専用のボイスメールとメールアドレスを作りました。
リクエストがあれば遺族スタッフが質問に応対することが出来ます。

「グループに行く程自分は弱っていない」とか、

「専門家に診てもらって病気扱いを受けたくない」とか、

または「グループって何だかコワそう」とか、

思っている人たちがいたら、
少しでも気楽に遺族スタッフの新しいサービスを利用していただけたらなあ、
と思っています。

JSOS Voicemail: (646)374-8132
Email: JSOSNYC@gmail.com

Sunday, October 18, 2009

Inspiring quote - Diana Fosha

私のトレーニングを受けているAEDP研究所の所長ダイアナ フォーシャ先生の言葉を紹介したくなりました。彼女とは大学院時代からお世話になっていますが、シャープな知性と暖かい人格のバランスが良く取れている稀な人です。彼女に会うたび彼女の深い共感力に胸を打たれます。

AEDPのリストサーブで回ってきたものにこの引用があり、ここでシェアしたくなりました。読むと今がどんな大変な絶望的な時でも、今まで知らなかった自分のチカラが発揮されたりとか奇跡が起こりうる、って思えて励まされます。渦中にいるときはそれが何か分からなくても。

"Not so infrequently, in the course of dealing with tragedy, with destruction, with misfortune, and evil, we are taken aback by the miracles that we are privileged to witness. Steeled for the worst, we encounter the best. It is not only that some are strong at the broken places; it is also that, through trauma, others become strong, and discover they're strong in ways they never knew. For sometimes trauma awakens extraordinary capacities that otherwise would lie dormant, unknown and untapped. Without the trauma, they would never see the light of day." Diana Fosha, Ph.D.


悲劇や、破壊や、不運、そして悪意と向き合って行く中で、私たちは奇跡を目撃することを特別に許されることが少なくないことに驚く。最悪な状況に 行きそうなとき、私達は最高のものに出会う。それは、ある人たちは逆境に強いというだけでない。ある人たちはトラウマを通して強くなり、それまで知り得る ことのなかったやり方で強くなり得るのだ、と発見することもあるのだ。トラウマは時に、それなしには決して発見されることなく眠っていた、知られていな かった、使われていなかった無比の能力を目覚めさせることがある。トラウマなしにはそのような能力は決して日の目をみることはなかっただろう。

ダイアナ フォーシャ
www.aedpinstitute.org