心理学の分野って何だか心の病気のことばかり扱ってて、なんだか暗そうだなあ、とか、恐そうだなあ、とか思ったことありませんか?
私も全く同感です。院生の頃、フロイトが精神分析のゴールは神経症の患者さんが神経症的な不幸でなく「日常的な不幸(everyday misery)」を感じられるようになること、と言っていたのを聞いて「何年も分析に時間をかけて、お金もたくさん払って、そ、それはあまりにもひどいのでは。」と思ってました。
これはフロイトの精神分析モデルが「どこが悪いか」に注目して治そうとする病理モデルだからなんでしょう。フロイトはメディカルなお医者さんだったので、体の痛いところを見つけて問題を分析し、治療すれば患者さんが良くなるように、心に対しても同じアプロートをすれば良くなる、と考えたのも彼にとっては自然だったのでしょうね。
でもこのモデルの問題は、心の病気が治っても、楽にはなるかもしれませんが幸せではないかもしれないというところです。心の不幸度マイナス10点がゼロになっても、幸せ度のプラスへ傾かなくては、何だか片手落ちなんじゃないかな、と思うわけです。
フロイトから始まる病理モデルの伝統のある心理学ですが、ここ10年くらいで新しい流れが出来てきました。ポジティブな感情に注目するポジティブサイコロジーというものです。
ノースカロライナ大学の教授バーバラ フレドリクソン先生という方がポジティブな感情がどのようにポジティブな影響を私達に与えてくれるのか、リサーチをされています。こういう分野が出てきて、彼女のようにポジティブな感情の利点とは?と研究が必要なくらい、ポジティブな感情はそれまでおざなりにされていたことが分かります。
彼女曰くポジティブな感情とネガティブな感情の比率が三対一というのが、心と体と精神に対して最高の好影響を与えてくれるのだそうです。
日常のなかで意味もあまりないし、お金にもつながらないかもしれないけど、「うふふ」と心底楽しめる小さな幸せ、ポジティブな体験を自分に許してさせてあげるのが、案外とっても大切なことなんです、と彼女は言っています。
本当に小さなこと、例えば鼻歌を歌うだとか、むちゃくちゃ自由に絵を描いてみるとか、ペットのおなかをなでてあげることだとか、くだらないだじゃれを言って人を笑わせてみることだとか、目が合った人にこちらから笑いかけてみるだとか、、、。そんな小さな幸せ瞬間の連続が積もっていくと、鬱にもなりにくいし、集中力も高まるし、対人関係も良くなるし、またつらいことがあったときでも立ち直りが早いとリサーチで出ているようです。
彼女のインタビューはこちらです。http://www.youtube.com/watch?v=Ds_9Df6dK7c
「私達が楽しめることに投資することは、自分達の未来に投資しているということ。だから希望を持つことは恐怖よりも良いことなのです。」
"When we're investing in things that we enjoy, we're investing in our future. That's why hope is better than fear." Barbara Fredrickson, Ph.D.
私のしているセラピーのモデルはAEDPというのですが、AEDPはまさにこのポジティブな感情の芽を育てていくのが一つの大きな柱です。フレドリクソン先生は臨床家ではなく研究者なのですが、彼女のアカデミックな研究が臨床の仕事の裏付けになっているのを発見するのは、うれしいことです。
人間楽をしてちゃだめ、という考え方がどうしても刷り込まれてしまいがちな日本文化ですが、楽しいことを自分に許してあげる、楽しんでる自分を受け入れてあげる、ということを頻繁にしていると、心の体力がたくわえられていくようです。それで自分も元気になって、周りの人たちも元気にハッピーになっていったら、最高ですよね。
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1 comment:
WOW nice words.
Love from international flower delivery :)
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